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WIRED A.I. 2015に行ってきた

 先日、東京の虎の門で開催されたWIRED A.I. 2015に行ってきた。そのときの内容に関しては、WIREDのプロライターさんたちが綺麗にまとめて今年の12月1日に発売されるらしいので、ここでは自分の感じたことを中心に書いていく。

WIRED VOL.20 (GQ JAPAN 2016年1月号増刊)/特集 A.I.(人工知能)

WIRED VOL.20 (GQ JAPAN 2016年1月号増刊)/特集 A.I.(人工知能)

 

 

 まず最初に自分がどういった人間なのか、ということを書いてから好き勝手に感じたことを書かせていただく。自分は現在学部2年で人工知能に関する専門的な研究はまだ行えていない。

 これまではWordPressによる実装などウェブに関して触ったり、Arduinoを使った電子工作をしたり、Hack This Site!というサイトでセキュリティを自主学習していたり、といろんなことに首を突っ込みまくっていた。そのせいもあり、特に何か凄い技術を持っているわけではなく、深掘りして勉強する気力もあまりなかった。そんなときに「人工知能」というものを勉強する機会がたまたまあり、その面白さに魅了され、ガチで始めようと思ったことが今回の参加にもつながった。

 人工知能に関しては研究題材にしていきたいと考えており、いろんな書籍を読み漁っているところなので、詳しい理論や数学は知らない。

 というわけで、人工知能に関しては完全なド素人で、その辺のおっちゃんよりはパソコンをカタカタしているという感じの人です。大雑把に言うと。

 

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当日のスケジュールは以下のとおり。スピーカーの方々は日本の人工知能界を代表するメンバーで、どのような話が出るのかとても期待していました。(松田先生の話よりもWindows10の紹介の方が長いことがすごく疑問でしたが…^^;)

13:00

ご挨拶

若林恵『WIRED』日本版編集長)

13:05

開会の辞】「シンギュラリティへといたる道」

松田卓也宇宙物理学者/神戸大学

13:20

シェフ・ワトソンと創造性の未来」

ラヴ・ヴァーシュニーイリノイ大学)

14:00

AI社会の未来図」

ベン・ゲーツェルAI研究者)

14:40

Windows 10 もっと自然に、人間らしく」

三上智子日本マイクロソフト

15:00

休憩

15:15

汎用人工知能はオープン・コミュニティから生まれるか」

山川宏ドワンゴ人工知能研究所)

15:45

人間のようなAI:本質的危険性と安全性」

一杉裕志産業技術総合研究所 人工知能研究センター)

16:15

生命科学がAIにもたらすもの」

上田泰己東京大学理化学研究所+ 一杉裕志

16:55

人工知能に“世界”を教える」

武田秀樹UBIC)

17:10

休憩

17:25

日本がAI先進国になるために」

井上博雄経済産業省+ 松尾豊東京大学服部桂編集者/科学ジャーナリスト

17:55

プレ・シンギュラリティの衝撃」

齊藤元章PEZY Computing/ExaScaler)

18:25

AIの未来についてのいくつかの回答」

松田卓也 + ベン・ゲーツェル + 山川宏 + 一杉裕志 + 上田泰己 + 松尾豊 +
齊藤元章 + 若林恵

18:55

ご挨拶

若林恵

19:00

懇親会

 

本当の意味での人工知能の研究はこれから

 今回の講演を聞いた感じ、大雑把に言うと「みんなで強い人工知能をつくろう!」という印象が残った。

 「強い人工知能」とは、哲学者のジョン・サール氏が定義した「正しい入力と出力を備え、適切にプログラムされたコンピュータは、人間が心を持つのとまったく同じ意味で、心を持つ」という考え。逆に「弱い人工知能」限定された知能によって一見知的な問題解決が行われば良いとするもの(例えば、Siriやシェフワトソンなど)。詳しくは東大の松尾先生の著書『人工知能は人間を超えるか』に書かれているので、そちらを参考にしていただきたい。

人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)
 

 つまり、先ほどの定義に沿った「強い人工知能」は今だに発明されていないということである。世間一般的に「人工知能」というワードがバズっている現在、人工知能は完成されたものである、という考えをしている人がたまにいる。しかし、人工知能は意識を持ってその活動を行っているわけではなく、すごく限定された箇所でしか活かすことができていない状況なのだ。

 しかし、Googleが猫の判別を行ったディープラーニングのように人工知能には無限の可能性がある。「コンピュータが存在し続ける限り、人工知能の研究はなくならない」という言葉がこのカンファレンスが出ていたが、まさにその通りで人工知能の研究はまだまだこれからである、「みんなで強い人工知能をつくろう!」というわけである。

 

 では、「強い人工知能」をつくるためにはどのようにすれば良いのか?その道標が今回のカンファレンスでもいくつか垣間見えることができた。特に期待されていることは、人間の脳の構造を知ることが最も近道と考え、模索する手法だ。

 これだけ技術は進歩していても、今だに「人間はなぜ知覚をするのか」「どのようにして意識があるのか」など脳に関する根本的な質問には答えることができていない。そのため、機械を人間のように知能を託すためには、まず人間の脳を知ることから始めなけれならない。そういった議論が相次いだ。

 この点に関して面白い話があった。それは生命科学者の上田泰己氏のコメントで、生物学的観点から考えて、機械が意識を持つことは可能か?という質問に対して、上田氏は「今の研究からして、正常な脳の構造を持ち、正常に脳が稼働していれば自然と脳は意識をもつはずだ」というコメント。果たして「強い人工知能」を持った脳型AIは意識を持つのか、それが実現される日が楽しみだ。

 また、現実に下記のようなハッカソンも行われていたらしい。

wbawakate.jp

 

 カンファレンスではPythonのパの字も出なかったが、こうした専門以外の話を幅広く聞けたことは非常に面白かった。日本の代表する人工知能研究者は何を目指しているのか、それさえ分かっただけで学生としてはモチベーションがあがった気がした。話された詳細や、その他にもGoogleが買収した「DeepMind」の特集なども12月の特別号に掲載されるそうなので、いい感じに忘れた頃に読めることが楽しみだ。

WIRED VOL.20 (GQ JAPAN 2016年1月号増刊)/特集 A.I.(人工知能)

WIRED VOL.20 (GQ JAPAN 2016年1月号増刊)/特集 A.I.(人工知能)