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未体験の経験

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 昔、先生に「なぜ地球は青くて丸いと言い切れる」と聞かれて答えられなかったとき、その先生は「自分の見たことのあることしか信用出来ないんだよ」と言ったことに対して何らかの違和感があった。結局自分が知っていることの半数以上は、自分の知らないことであるという教育を子どもに対して行う人としての限界を示した、その皮肉なセリフは自分の中で長きに渡り、違和感が心に残っていた。
 最近、その違和感は何なのか、気づくことができた。その違和感は日本語で言う「かわいそう」というものに近いと気づいたのだ。

 人は記憶を伝えることができる。自分の体験していないことを、相手の身体から出す言葉を通じて、自分の5感に訴えかけ、そして自分の「体験」として手に入れることができる。そうすることで人は少ない障害の間に、古人の記憶を引き継ぐことで進歩することができる。

 人類の進歩はここ数年で飛躍的に進んだ。教育も20年以上この世に生を持っても、学校で学ぶ日々が当たり前になってきた。それまでに学んだことを活かして次の世代へつなげていく。それは、教育の限界を示すどころか、むしろ限界のない、人に与えられた永遠の使命ではないか。そう思うと、どこか誇らしく、小さな自尊心がふっくらしてくる。

 日本はもう数十年も戦争がない。日本人で戦争を経験した人はもう少なくなってきた。これからも日本という1つのコミュニティを築いていく中で、過ちを繰り返すことなく、いい方向で人類が進歩するためにも、語り継ぐ大切さが今、節目の時として脚光を浴びているのかも知れない。

 物語という、虚像を体験できる想像力も人のチカラだと思うなぁ…。

人間の土地 (新潮文庫)

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